恋するタブリエというお仕事と恋愛の話を書かせていただいております、浜野と申します。
 コンテストのために書いたたったひとつの短編から、連載をさせていただくことになるなんて夢のようです。機会を与えてくださいました共幻社さんと読んでくださいますすべての方に感謝しております。
 フランス料理のレストランが舞台の話を書いておりますので、恋するタブリエ的ワインと食のコラムをこれから始めてみたいと思います。
 よろしければお付き合いください!



はじめに。(言い訳含む)

 

 恋するタブリエのお話でもプロ泣かせのワイン好きを登場させていていますが、ワイン好きな人が蘊蓄を語り過ぎて倦厭されることはよく聞きます。ワインだけじゃなく、本でも芸能人でもアニメでも音楽でもスポーツでも、他の人よりちょっと踏み込んだ知識があればどんなことでも語りたくなるだろうと思いますけど。楽しい食事の席で、飲んでいるものに硬い解説を付けられたら、まぁ鬱陶しいですかね。

その昔ワインの勉強をしていた時期がありました。体質がアルコールに合わなくてやめてしまいましたが、資格は持っています。そんなわけで、「普段ワインって飲まないんだけど、どんなワインがお勧め?」と聞かれることが度々。

この質問に答えるの、本当に難しい。


 気軽にお勧めできるような価格のワインの名前は産地の名前だったりブドウ品種の名前だったりして、同じ名前のワインをいろんな作り手が作っています。同じ名前のワインでも違う生産者が出しているものなら当然味が違います。同じ作り手でもブドウの木が育った年によっても変わってしまいます。

 なので、紹介するとしたらワイン名と作り手の名前、収穫年まで言わねば自分の思っている一本を表せません。ワインの名前に生産者を並べて「収穫年によっても味が違いますけどね」と一言付け加えることになります。そうでないと、違うものを飲まれて「あの人に教えてもらったワインを飲んでみたけどいまいちだった」ということになってしまいますから、悔しいじゃないですか。


 そうするとだいたい、「生産者ってそんなに大事なの?」という質問を招き、蘊蓄など言うつもりはなくてもワインというものについてちょっと語ってしまう羽目に陥ります。


「やっぱりワインって難しそう」

 最後は相手のその言葉で終わって、申し訳ない気持ちになったものです。

 
 硬いお酒だと思われて避けられるのはもったいない。

 やっぱりワイン屋さんに行って相談して買うのが一番間違いないという当たり前な正解に気づいてからは、ワイン屋さんを紹介するようにしました。

 
 ところがある時、「ちょっと前にワイン屋さんで勧めてもらったワイン、ダメだった」と言ってきた人が。運悪く劣化したボトルに当たっちゃったかな(劣化したワインについては恋するタブリエ
4巻をぜひ読んでみてくださいね!)と思い、話を聞いていると、

「最初は美味しいなと思ってたんだけど、だんだんあんまり美味しくなってね」

「え? 飲んでる最中に?」

「そうなの、申し訳ないけど半分くらい捨てちゃった」

 
 酸化して劣化は仕方ないけど飲んでいる間にそんなに急激に味が変わるなんて……。聞いていたワインの購入金額からすればそんなにデリケートなワインじゃなさそうですけど? 

「何人くらいで飲んでたんですか」

「一人で。うちの家族ビールしか飲まないから、気が向いた時にチビチビ一人で」

「待って、待って、それって期間どれくらい?」

「うーん、3カ月くらいかな。飲まない日もあるし」

「それはダメです……」

「そうなの?」

 
 ワインは醸造酒だから、開栓してしまえばアルコール度数が高い蒸留酒ほど日持ちしません。ワインによっては開栓してから2週間経っても美味しいというものもあるようですが、だいだい3日から1週間以内には飲み切った方がよいと考えられているようです。空気に触れないように保存した方がいいですし……。


 あーあ、結局あれこれ話してしまいました。少ない知識のクセに。


 ワインってなんか、語らせる。そういうお酒なんだと思います。


 ただ、ワインに興味のない人にすればその語りはうんざりするもの。とりわけ高級ワインの話などはなおさら。

 
 1本100万円以上するようなワインでも、ボトル750mlを楽しむには多くてせいぜい10人までです。高価なウイスキーやブランデーなどの蒸留酒のように日数を掛けて少しずつ楽しむことも、1匹5千万円で取引されても1万2千貫の握りずしが出来るような高級マグロのように大人数の口に入るわけでもない。
 

高級ワインは短い時間に少人数で楽しんでさっと無くなってしまう贅沢な飲み物です。語ってもらっても多くの場合は飲ませてもらえるわけじゃないし、自分で買って飲むこともそう簡単ではないわけです。ドラえもんに出てくるスネ夫の話を聞くのび太みたいな気持ちになります。


 ワインは人に語らせる。
 けれど、ワイン話は共感しにくいことが多いものです。特にお金持ちのワイン通には気を付けてもらいたい。


 ですから私は楽しく聞いていただける程度にタブリエに出てくるワインや料理についてここでお話したいと思います。え? これだけ言っておいて語るの? ってお思いでしょう。ご安心ください。私の話はけして通なそれではありませんから。



ブログの機能が使いこなせておりません。何とも味気ないページになってしまって……申し訳ありません~。それも含めて慣れていきたいと思いますのでよろしくお願いします(*_*;。浜野